2004-01-01から1年間の記事一覧

vermilion::text、99階、五十六階から来た男

「大変だ、早く奴を止めないと下の階が水没しちまう」 薄汚いベッドの上で、汗まみれで目覚めた男はそう言った。ベッドを囲んだ人間たちは一様に訝しげな表情を浮かべて、互いに視線を交わしあう。 「まあ、水でも飲みな」 部屋の隅に居た背の高い男が腕組み…

静かな写真

今日は図書館・書店巡りをしていたのだけど、その最中で一冊の写真集に出会った。 その写真集は報道写真の写真集であり、全ての写真に煽り文句と写真の説明が上書きされている。その文章は「私はここまでやってこの写真を撮った、あなたにはできないだろう」…

ジャンルを決めなければならない、という息苦しさ

商業写真というものを考えた場合、とりあえず自分の撮りたいものを(例えばファッションや料理というように)設定して求職することになる。それは自分の「興味の向くもの」を「撮りたいもの」として設定することになるのだけど、そのジャンルを決定してその…

でも、まだ遅くは無い

遠くに来てしまった あまりにも。 そうして、自分が迷っていることに気がつく。 どこに居るのかが、全くわからない。 遠すぎる。 何もかも。 でも、まだ遅くは無い、きっと。

La terre desolee と La terre de la desolation では どちらが 正しいのだろうか と 思ったが 語感が 全く変わってしまうし わずかながらに 意味も 変容しているように思われる

La terre de la desolation

世界の全てが色褪せて見える瞬間が、ある。

何にカメラを向けて良いのか分からない

車に興味がある人は、車のための写真を撮る。 その写真は、車に興味がある人が…車のために…車について撮影する写真である。 この構図は、写真(イメージ)そのものに興味がある人にはどうなるだろうか。 写真(イメージ)に興味がある人が…写真(イメージ)…

運命の日は八月十五日

私にとっては、人生初コミケの日でした。 朝方に雨がぱらついているのを確認したときは嫌だなあ、と思いましたが、それもすぐに止みました。一日中曇り天気だった事が気温を下げ、この日を過ごしやすいものにしてくれたのかもしれません。 私は本を目当てに…

あなたが、あなたの望むだけ長く生きますように。 あなたが、あなたの望む以上長く生きませんように。 旅先で見つけた、ケルトの言葉(Celtic Bless)。元の英文の仔細は忘れてしまった。

24日のヴェルニサージの話

招待状を捨てたとか、行きたくないとか言っておきながら、24日は結局ヴェルニサージに出た。 24日に私がモデルをしてもらった友達の家に写真を持って行った際に、二人の共通の友人である私の同級生に偶然会ったのだが、その際、彼女に絶対にヴェルニサージに…

心が角質化してしまうような感覚

何を見てもおもしろいと思えず、批評しながら見ている私がいる 傷つきたくなくて、常に守りを崩さない私がいる 私は私、他人は他人と、どこかで割り切っている私がいる 伝えたいことが伝わらなくても、仕方が無いと私に言い聞かせている私がいる 伝えること…

あるひとつの物事があって、そこから何を受け取る事ができるか、何を引き出すことができるか、それをどのように見るか、という部分は(当たり前だが)人それぞれに異なる。その人それぞれの振舞い方に、その人の品性のようなものがにじみ出てしまうものなの…

メモ(ニ)

今や偉大なる星々は地平線の彼方に堕ち、世界は闇に閉ざされた。 地上には残された人々の灯火がまばらに、かぼそく瞬いているだけであり、重たい闇は世界を厚く覆った。世界が萌えいづる時代の、さながら鍛冶場のような活気は既に失われ、人々は互いを信頼し…

メモ(一)

「責任」とは、家族や恋人、友人といった、 具体的な関係の場での、具体的な人間に対して、とるべきものであって、 国や世間、マスコミといった、得たいの知れないものには、 断じてとるべきものではない。 こうした抽象的なものに対する「責任」は、 「責任…

UO夜話・ニ

bank powerhour銀行の前、私の隣であなたはそう言った powerhourって知らないわ、それは何? あんたが一日で一番”冴えてる時間”を教えてくれる呪文のことさ その時間には何でもするすると頭ン中に入ってくるその日から私はその呪文を唱えるようになった あな…

UO夜話・一

Moongateの脇でsextantを空に構えたあなた 何を見ているの?月を見ているのさ、そういってあなたは笑った ブリタニアの空を見上げると、そこには月が浮かんでいる 昔はMoongateの行き先が月の満ち欠けで決まっていた、とあなたは言う 今みたいに、思ったとお…

昔の失敗

たまに、昔の失敗を思い出してはやりきれなくなることがある。 月が満ちては欠けるように、数ヶ月に一度来るこの状態は、自分ではどうしようもない。 呻きながらその状態が過ぎ去るのを待つだけである。

メモ:自由と放縦の区別もつかない

自由と勝手と放縦は異なる。言葉はそれなりに正確に使い分けられなければなら無い。

メモ:イメージをもっとダイレクトに掴み取るということ

水平線が中央にあるからいけない、強いポイントが画面の真ん中にあるからいけないと、教科書に当てはめて批判することは簡単だ。では、その教科書を離れて、そのことがなぜいけないのかということを説明して欲しい。その風景に立ったあなたは、どのようにそ…

カメラを持たないということ

学校から帰ってみると水が残り少なくなっていた。冷蔵庫が壊れてからというものの、私は買い置きをしなくなった。そうすると一日二日で何かが欠ける。私は日が暮れかけたあたりに水を買いに出た。 扉に鍵をかけ歩き出したところで私はカメラを忘れたことに気…

vermilion::text、23階、ラプンツェルの猫

「あるところに、猫がいた。 猫は、ある主人に飼われていた。 猫はそれを愛する主人の手によって高い塔の中に幽閉されていた。 主人は夜な夜な猫のもとを訪れてはその優美な仕草を愛でた。 そのように飼われていたため、猫の毎日は単調だった。 しかし、猫は…

独り言

今朝方実家に電話してみたが、亡くなった祖父は八十八歳だったそうだ。家族はその様子から皆どことなく「そろそろかな」と思っていたらしく、父の声から察する家の様子は平穏そのものだった。海外にいてここ二年以上顔をあわせていない私だけが、その訃報を…

枯らすために花を買った

絵を描く事が上手になりたい、とだけ思って絵を描いたことなんてない(メモ)

なんと言えばいいのか分からないけど、私は絵が上達する、ということ自体にはあまり興味が無い(「上達」の定義自体も非常にあやふやだけど)。実現したいイメージがそこにあって、それが実現できないので何度も描き直したりラフを重ねて練習するということ…

スタジオに向かう途中で、先週その枝を折り取った、桜か梅のような花をつける木が雨に打たれている姿を私は横目に見た。昨夜の雷鳴と強風で花はすっかり落ち、木は無残に黒い枝を晒していた。路肩には雨を吸い込んだ重たげな花弁の絨毯。 私はスタジオに入り…

久しぶりに見た夢には、非常に美しい光景と、妹が出てきた。 次いで、その夢から醒める夢を見た。 私はそこで目覚めて「ここはどこだっけ、ああここは日本だったな」と考えて隣の妹の部屋に向かい、先ほど見た夢の話を妹に話すのである。そうして全てを話し…

私たちが目指す方向というのは「私ならこうする」「世界はこうあるべきだ」という理想の世界のクロッキーを現出させる方向性に向かってであって、すべてはそれに向かって引き絞られるべきなのである。

イメージについて

学校で白黒ラボで引き伸ばしをしていたときにふと気がついたのだけど、写真的なイメージには大きく分けて、その写真に写っている被写体すなわちイメージの対象になっているものに興味の本質がおかれているものと、被写体自体はどうでもよくイメージそのもの…