静かな写真
今日は図書館・書店巡りをしていたのだけど、その最中で一冊の写真集に出会った。
その写真集は報道写真の写真集であり、全ての写真に煽り文句と写真の説明が上書きされている。その文章は「私はここまでやってこの写真を撮った、あなたにはできないだろう」という筆者の強い自意識に由来するであろう煽情的な文章と、写真に撮影された現場に対する筆者の思いがけないほど素朴な吐露が入り混じった興味深い文章であった。
しかしながら私には煽り文句がどうにも強く感じられたうえ、写真の説明もどうも写真を追い越して写真をまるでイラストレーションのように扱っているように感じられた。そこで私は試しに写真の上に書かれた文章を無視してみることにしてみた。
するとどうだろう、写真そのものはひどく静かなのである。文章はひどく激して多弁なのだけれども、写真そのものはどうにも寡黙で強い意思表示が感じられないのである。
私はその写真集を棚に戻し、その隣にあったサルガドの写真集を開いた。