2017年に手にした機材に対する個人的な印象まとめ Part2 後編

久しぶりにNikonデジタルカメラに復帰して思うのは、デジタル部分のインターフェースの弱さ。カメラの機械的なインターフェース、例えばボタンを押したときの感触、シャッターを切ったときの音等についてはよくできていて、撮影していて気持ちがいい。
ただ、メニューに入った後の分かりづらさ、そしてライブビューの使いづらさ等、デジタルカメラになってからカメラに搭載されてきた機能全般が微妙にぎこちない。

ライブビューの使いづらさについては、以前書いた(http://entreombreetlumiere.hatenablog.com/entry/2017/02/25/020018)ので割愛し、メニューの話をしてみよう。
現在のキヤノン機は、数多くの設定項目をタブで分割して表示する。一つのタブについて設定できる項目が一つの画面に収まるように設計されているため、タブを開いた時点でそこで設定できる項目が一覧できる。目的の機能がなければダイヤルを1クリックするだけで次のタブに移動できるので、タブを切り替えながら機能を手早く検索できる。縦スクロールが存在しないので、下に隠された長大なメニュー項目をスクロールして探すという行為が存在しない。タブを一目見るだけで、メニュー全体の中で自分がどこにいるかが一目でわかる様になっている。
対してニコン機はタブによる分割はあるものの、項目を機能で分類している。そのため一つのタブの項目は数ページにわたり、ユーザーはタブ内の長いメニューを縦スクロールして探す必要が発生する。タブ内の項目はページで区切られているが、全体で何ページあるかは明示されないし、(もしかしたら存在するのかもしれないが)ワンアクションで次のページに飛ぶ方法も見当たらない。1ページ目から2ページ目に移動するには、1ページ目の先頭項目から順番に下まで移動(8回程度クリック)しなければならない。メニュー右にはスクロールバーが表示され、全体の中で自分がどの位置にいるのかを示してくれるのだが、正直に言うとわかりづらい。
タブを開いたときに一目でそのタブの機能がすべて把握できるといいし、それができなければ全体で何ページあり、現在何ページ目にいる、という情報が欲しい。そしてそのページ間をできるだけ少ない操作で移動したい。
その昔、キヤノン機はすべてのメニュー項目が一枚の縦長の画面に収まっていて、長いメニュー画面をひたすら縦スクロールしなければならない仕様だった(はず)。それが今では(カメラに搭載される機能の増加もあるのだろうが)上述したような仕様になり、非常に使いやすくなった。
ニコン機にも似たような、使いやすさの進歩を望むのは高望みと言うものだろうか?

Nikon D750(個人的評価:8/10)
D800Eのライブビューに耐えかねてこちらに入替。暗いところでのライブビュー像が改善され、使いやすくなった。ライブビューAFはDPAF以前のレフ機(5D3等)のコントラストAFと遜色ないくらいになり使えるように。というか、やっとスタートラインに立てた感じ。ライブビューに入ると絞りが設定値に絞られた状態で始まる、という仕様は相変わらず。
また、ファインダーでの位相差AFも精度が高くなった気がしている。明確な原因(ボディなのかレンズなのかそれともそれらの相性なのか)はわからないが、D800Eと純正16-35VRの組み合わせで時折現れたピントのない写真は、D750とタムロン15-30VCの組み合わせに変えた結果、ほぼなくなった。
これら改善の結果、現場でのストレスが大幅に軽減された。
画質は良い。懐の深いRAWが特徴で、後で画像処理を行う際の余裕が多い。キヤノン機だと怖くて5段の露出ブラケットをかけていたのを、3段のブラケットで済ませられるようになった。
LRの標準プロファイルだと青~緑で時折特徴的な色の出方をするが、PSで修正できないものではないし、プロファイルを作ってやれば現像時点で問題なくなる、と思いたい。というかなってほしい。
素数を割り切った今、D800Eと比較して不便に思うのは、AF-ONボタンがないことくらいだ。AF-L/AE-LボタンをAF-ONに割り振ればいいのでは、と思うかもしれないが、そう設定するとシャッターボタン半押しでAFしなくなってしまう。もちろん、親指でボタンを押してフォーカスをロックしている間は半押しでAFされると困るのだが、親指でボタンを押していない時にシャッターボタンを半押しした時もAFが動かない(いついかなる時も親指AFを強いられる)のには困惑した。設定のやり方を私が見逃しているのかもしれないが、これのおかげでニコン機は親指AFが非常にやりづらい。というか使えない。

Nikon D800E(個人的評価:7/10)
良いカメラなのは確かなのだが、私にとっては暗所でのライブビュー像の暗さ、位相差AFの精度不足、全体的な動作の緩慢さ、そして独特の濁った色に悩まされつづけたカメラであった。
位相差AFはD800では悪い評判を聞かないところだが、私の手元に来た個体はあまり良くなかった。個体の問題か、使っていたレンズか、その相性によるものだと思うが、時折理解できないところにピントを合わせてくる(シングル中央一点に指定しても全く別のところにピントがある)ことが何度かあったので、どうにも信用できなくなってしまった。
全体の動作が緩慢なのは、主にファイルの読み書きを伴う操作に集中しており、もしかしたら私が使っていたカードの速度に問題があったのかもしれない(とはいえサンのExtreme)。ファイルサイズが大きいことも一因していると思う。
なお、ライブビュー中に書き込みが発生すると、書き込みが終了するまで画面がブラックアウトする仕様には閉口した。私の場合、ライブビューで3段ブラケットをすることが多く、シャッターを切った後しばらくいらいらしながら真っ暗な画面を眺めることが多かったので尚更目に付いた。
色については、確かによく言われるように黄色に転ぶ傾向があるが、直せないほどの偏りには遭遇したことはない。時折画面内の特定の色だけが妙に黄色が強く飽和気味に出てくることがあり、その場合は問題の箇所を選択して修正する必要があり、面倒ではあった。
だがそれよりも、わずかに濁ったような色になるのがなによりの不満だった。晴天日中等光が整っている時は問題ないが、曇天や屋内などで光が悪くなりはじめると妙に色が濁ってくる。Adobeの提供するプロファイルの問題かと思い、カラーチェッカーパスポートを使用してプロファイルを作成してみたりしたのだが、完全な解決には至らなかった。

Nikon D7100(個人的評価:-/10)
散々悩んだ末、年末に導入、したばかりなので評価保留。
悩んだ原因としては、ライブビューの仕様、Expeed3の色、ネット上で言われているシャドウ部に浮くラインノイズ等。ExpeedがD800と同世代と言うこともあり、ライブビューの記録中はブラックアウトする仕様も同じ。色も同じと思いきや、それほど悩まされている印象はない。
実際に使ってみると意外に素直で、それまで聞いていた悪評も「確かにそうだがそこまで言うほどじゃない」という感じ。楽しく使えている。

Nikon AF-S 16-35/4 VR(個人的評価:ニコンの言うことが本当であれば4/10)
私の持っていた個体は周辺画質がとにかく緩かった。
特にテレ付近の周辺が酷く、絞り込んでもあまり解像しなかった(A7Rにアダプター経由でつけた17-40Lと比較しても格段に劣ると言ったら深刻さが理解いただけるだろうか)。
そこで(いまはない)ニコン仙台サービスセンターにプリントとデータを持ち込んで相談したところ、光学的なチェックも通さず「こんなものだと思います」と一蹴され、なんだニコンのレンズ&サービスも碌なものじゃないな…と苦い失望を覚えたのであった。
サービスの言葉通りこのレンズが「こんなもの」どまりなのだとしたら、明らかに要求水準に届いていない駄レンズである。すぐに売り払ってタムロンの15-30VCを買った。

Tamron SP 15-30/2.8 VC(個人的評価:9/10)
良い。純正16-35を使用していた時の悩みが嘘のように消えた。
全てのズームレンジで全画面にわたって開放から完璧に解像している…というわけではないが、私の用途では絞って使用することが大半なので解像に関しては問題がない。ワイド端の歪曲が少し強いことの方が気になる。純正と色、トーンの出方がちょっと違う印象だが、悪い印象はない。
フィルターが使えないことが気になるが、防汚コートがすごい。雨天で前玉についた雨滴がブロワーで吹くだけで飛んでいくのは見ていて爽快だった。

Nikon AF-S 24-85/3.5-4.5 VR(個人的評価:7/10)
悪くない。ややあっさりした描写をする印象がある。開放はやや緩めだが、少し絞ればシャープだ。四隅はちょっとはっきりしないきらいがある。しばらく使って24-120に替えたが、24-120の大きさが気になる人はこのレンズが気に入るのではないかと思う。

Nikon AF-S 24-120/4 VR(個人的評価:-/10)
それほど使い込んでいないのでパス。

Nikon AF-P 18-55/3.5-5.6 VR(個人的評価:6/10)
D7100用に16-85を中古で購入したら壊れており、それを修理に題している間のつなぎとして購入。値段を考えると良い画質だと思う。購入当初、悪条件下で使用した結果、一応解像はするものの妙に泥っぽいトーン再現にがっかりしたのだが、2/3段ほど絞って使う様になって評価が好転した。VR、AFは無音、しかも高速なのもポイント。