2017年に手にした機材に対する個人的な印象まとめ Part2 前編

2016年から仕事でそれまで使用していたCanonに加え新たにNikonを併用しはじめたのだが、改めてCanonの色の扱いやすさに気付かされた。再現性が高く、特定の色域だけがシフトする様な事も少ない。特に人を撮らせたときに破綻が少ない気がする。
異なる機種を併用しても全体としての傾向が似ていて、大きなばらつきがない(1D系だけちょっと違う気がするが特定条件下のデータしか見ていないので判断保留)。
そのようなわけで、人が絡む撮影はCanon、人が絡まない撮影ではNikonを使用することが多い。

Canon EOS 70D(個人的評価:8/10)
7Dの代替。時期的には80Dが順当だが、ちょうど状態の良い中古があったこともあり、こちらを導入。
ライブビュー番長。DPAFとバリアングルのタッチパネルが、このカメラをライブビューにおいてとにかく使いやすいものに仕上げている。ライブビュー中心の撮影で、高感度が必要にならない仕事ではこればかり使っている。一度このカメラの使い勝手に慣れてしまうと、ほとんどのカメラでつい液晶を触ってしまう。
画質は7Dよりも良い。断然良いとまでは言わないが、なかなか良い。この時期のキヤノン機のセンサーの常としてシャドウ部は汚いので、二段以上押すときは覚悟が必要だ。が、7Dのシャドウ部をちょっと持ち上げた時に出てくるライン状のノイズがないだけ随分とまし。
DxOMarkで70Dのセンサーはm43の16Mセンサーと同じくらいの性能になっているが、使った感想としてはまったく違う。レンズの違いもあるかもしれないが、RAWに懐の広さ、粘り強さのようなものがあり、撮影、画像処理を通じて安心感がある。まあ、仕事でずっとキヤノン機を使ってきたのでそれに慣れており、どういう条件ならどう写るというのが頭の中にあるというのが大きいのかもしれない。
位相差AFはあまり信用が置けない。特にサードパーティ製レンズに顕著。事前にマイクロアジャストを行うことを推奨する。
WBにダイレクトアクセスできるボタンがないことが不満だが、「Q」ボタンからタッチパネルですぐ変更できるので大きな問題ではない。

Canon EOS 6D(個人的評価:8/10)
5D2の代替。時期的には6D2が順当だが、出たばかりで二の足を踏んでいたところに知人のカメラマンが初代を安く譲ってくれることになり、こちらを導入。
5D3を凌ぐ良いセンサーが載っている。色味にちょっと癖はある(微妙に緑っぽい気がする)ものの、5D3でシャドウを持ち上げたときに盛大に浮いてくるカラーノイズとマゼンタのかぶりがかなり抑え込まれていることが嬉しい。
サイズが(135としては)小さく軽いが、作りは悪くない。Mark2もそうなのだけど、SD+SDでいいからダブルスロットがあると良かったのだが。
位相差AFは中央の一点しか信頼できない(これは5D2も同じだった)ので、繊細なピントが必要な撮影には5D3を用いる。ただ中央測距点を使用している限り信頼性は高く、70Dの様に疑心暗鬼になりながらマイクロアジャストを繰り返すような場面に遭遇したことはない。
導入当初は測距点切替操作のためのジョイスティックがないことに若干戸惑いを覚えた(70Dもそうだ)が、中央以外の測距点が信用できないため中央から測距点を動かす操作自体が発生せず、ジョイスティック自体が「あったら嬉しい」レベルの存在に後退していることに気が付いてから気が楽になった。とても。
そんなわけで6D、70Dを集中的に使っているとその「右手だけで大抵の機能にアクセスできる操作系」に段々慣れて来て、特にタッチパネルのある70Dで「あれ、これ5D系より使いやすいのでは…」と思い始めるのだけど、WBを変えようとした瞬間に「なんでボタン一発でアクセスできないんだ」となるのでWBへのダイレクトアクセスが欲しい。特に6Dは70Dの様にタッチパネルでもないので、使いづらさが際立ってしまう。
70Dと比べるとDPAFもバリアングルタッチパネルもないのでライブビューの使い勝手はかなり落ちるが、ここが全て改善されたのが6D2となるので、初代を買った以上ここに文句を言ってはならない気がする。
なお、とても個人的なポイントだが、GPSが内蔵されているのが有難い。撮影場所の特定が重要な調査系の依頼が稀にあり、その場合、これまではカメラと別にGPSロガーを持ち歩いて後から画像に紐づけしていたのだけど、その工程がまるっとなくなった。

Sigma C 17-70(個人的評価:4/10)
私の手にした個体の問題かもしれないが、ズームの中間領域における周辺部画質がまったく褒められたものではない。
広角端でも周辺部の描写はそれほど良くないのだけど、それでも四隅に近づくに従ってダメになってくる感じで、まだ我慢できた。だが35ミリ付近では画面中央から少し離れると像が緩くなりはじめ、短辺の縁にたどりつく前にダメになる。片ボケかと思ったが左右が等しくダメ、中央はシャープなので像面が強く湾曲しているのではないかと思う。
なお、望遠端の描写は優秀。

Tamron 10-24/3.5-4.5 VC(個人的評価:8/10)
優秀。全域でシャープ、コントラストも良好。
広角ズームとしては比較的明るく、VCがついており手持ちの範囲も広い。出目金ではなくフィルターが使えるのも良い。
ただ、超広角ズームなりの欠点は残っており、広角側の歪曲が強く撮影中気になる、四隅で色収差が目立つことが時折ある。逆光耐性は悪くはなく、強い光源を画面に入れてもコントラストは悪化しないのは良いが人並みにフレアが出る。
個人的なこのレンズ最大の問題点は、70Dの位相差AFで使用した時に相当ピント位置がずれていたこと。しかも焦点距離ごとにずれの傾向が異なっており、本体側のマイクロアジャストでは不安が残ったのでTAP-in Consoleを導入しての調整を行った。レンズとカメラどちらに問題があるのかわからないが、純正レンズではここまで大きくずれた経験はない。

Tamron SP 45/1.8 VC(個人的評価:-/10)
割と使っているのだが、まだうまくつかめていないので点数はなし。
45ミリF1.8と標準の単焦点にしては控えめな開放F値なので開放からピシッと写るかと思いきやそうでもなく、開けるとピンの芯は残りながらもふわっとなる感じ。これが好きな人はハマると思う。トーンやコントラストは良い部類に入ると思うが、とりたててすごいという感じでもない。個人的にはもうちょっと立体感が出る描写を期待してたんだけど、そうでもなくてどう使えばいいのか…といった感じ。ちょっと色収差多めなのが気になる。
AFが不安定な傾向があるのでTAP-in Consoleで調整しようと思ったところ、未対応のバージョンであった。はてさて。

2017年に手にした機材に対する個人的な印象まとめ Part1

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LUMIX GM1(個人的評価:7/10)
GM1と12-32の組み合わせの弱点の一つは、起動時に両手を使用すること。キットレンズである12-32は手動で沈胴を解かないと撮影できず、その操作に両手を要求する。常に沈胴を解除しておくこともできるが、鏡胴が伸びた状態で持ち歩くのはできる限り避けたい。
そこで電源ONで自動的に沈胴解除されるPZ14-42を導入してみたのだが、結局、ズーミングに左手を使用する必要があり、12-32に戻した。購入前はズーミングに左手を使用する必要があることを承知の上で、単にOISの入った14ミリとして使えないかと思って導入したのだったが、いざズームレンズをつけているのにズームできない状況に直面すると、なかなかフラストレーションがたまるものである。

LUMIX G7(個人的評価:5/10)
一年を通していろんな場面に持ち出して使ったが、年末に退役。使いやすいカメラだが、全体を通じて画質が要求水準に届かなかった印象がある。いや、画質自体はGM1と変わらないのだから、サイズから期待されていた画質に今一歩及ばなかった、というのが正解だろうか。
G7はキットレンズの14-140と組み合わせるとそれなりに奥行があり、また一眼レフのように上に出たEVFが高さを出してしまう。結果、比較的小型なAPS-C一眼レフを持ち運ぶのとさほど変わらないくらいのサイズ感になってしまう。
また、14-140の望遠側はAFが微妙に外れがちなこともあいまって画質がそれほど良く感じられず、PZ14-42を導入してからは必要がない限りはそればかり使用していた。そうなるとスナップ主体で使う場合にGM1との差別化が難しくなるわけで、APS-CとGM1の間に挟まれ立ち位置を確保し損ねたというところ。
なお、導入当初期待していた4Kフォトは、結局MP4からのJPEG切り出しであって、画質の問題から本格的に使用しないまま。同様に期待していた内蔵Wi-Fiを使用してのスマートフォンからのカメラの遠隔操作は接続可能な距離が想像以上に短く、使い物にならなかった。
スチルだけではなく、ムービーも撮影する人であれば評価は大きく異なるだろうカメラ。

Lumix G 12-32/3.5-5.6(個人的評価:7/10)
GM1に実によくマッチする。画質もまったく悪くない。このサイズで12ミリまでカバーし、これだけ写れば十二分に満足である。起動時に両手を要求するのが面倒ではある。

下の14-42もそうだが、12-32をボディにつけて持ち運ぶときは基本的にレンズキャップをつけず、その代わりにフィルターをつけて、ケースに入れて持ち運んでいる。こうすることでレンズキャップの管理から解放される。

Lumix G X PZ 14-42/3.5-5.6(個人的評価:6/10)
携帯性が良く、画質もそつがない優等生なのだが、どうしても12-32と比較されてしまい(14ミリスタートなこともあり)平凡な印象から抜け出せない。このサイズでここまで写ることを考えると十分にすごいのだが、特段高画質という印象に至らない不遇の子。

このレンズはズームレバーの位置がとにかく不満。ピントレバーとズームレバーを交換してくれないだろうか。ファームウェアで本体のメニューに出すとか。

Lumix G 14-140/3.5-5.6(個人的評価:5/10)
広角~標準域は良いが、望遠に行くに従い像が甘くなる。コントラストが低下し、妙に浅い感じの、おとなしい描写になるように思う。望遠側が必要になるからこそ大きさを我慢してこのレンズを持ち歩いているのであって、その望遠域でパッとしない感じで写られても困る。高倍率だから仕方ないし、望遠レンズを持ち歩くのが正解だというのもわかるが、とにかく描写が物足りない。