オルソマチック

http://d.hatena.ne.jp/HUM/20060517/p5の話題。

乾板について

銀塩写真の記録メディアは主に、写真をかたちづくるための感光剤(乳剤)と、それを支える透明の支持体からなります。現在はセルロースベースの薄膜(フィルム)が市場に出回っていますが、それ以前はガラス板を使用していました。ガラス板ベースのものを、主にガラス乾板と呼びます。
(以前タイトルに付けた「コロジオン法」は同じくガラス板を使いますが、ガラス乾板よりも古い技法で、使用するのは乾板ではなく、乳剤が乾燥していない湿版です)
このような乾板を用いるには大型の写真機が必要になると思われるのですが…お爺様が写真館か何かをされてらしたのかしら。

箱を見る

写真にあるのは、

  • フジのPortrait Panchromatic Plates
  • オリエンタルのPortrait Ortho Oriental Plates

90*115というのは欧米の主流から見ると少し小さいですね。

年代は?

調べてみると、フジが一般に向け乾板を発売しはじめたのは1934年頃、このころはまだPanchromaticではありません。

乾板では、1934年(昭和9年)4月、最初に“富士スタンダード乾板”を発売したが、(中略)同年7月に“富士ポートレート乾板”を発売するに及び、ようやく写真館に使用されはじめた。

オリエンタルはと言うと、1928年頃から乾板を出荷していた模様。

1928年 昭和3年 「オリエンタルスペシャルラピッドポートレート乾板」 発売。
1937年 昭和12年 「パンXフィルム」発売。「オリエンタルハイパーパン乾板」発売。

1940年頃に富士フイルムの乾板がパンクロ化され、写真左に写っているものとなります。

1940年(昭和15年)10月には、高感度人像用乾板“富士ポートレートパンクロ乾板”を発売した。

第二次大戦以降、乾板はフィルムに置き換えられて行き、フジは1967年で乾板の製造をうち切りました。
このようなわけで、それらの写真群は1930年代から1960年代にかけ撮影されたものと推定されます。

乾板のデジタル化

ライトボックスがあれば、暗部(反転像における明部)の階調がもっと出ると思います。
フィルムスキャンが出来るフラットベッドスキャナを使えば、もっときれいに撮れるかも。
いやいや、手間が掛かるだけですね。