最近は朝方まだ暗いうちに家を出ることが多い。私が住んでいる場所はフランスでは南とはいえ、日本の大半よりも北に位置する街なので、冬のとばくちに差し掛かった今、朝の七時でも空はまだまだ暗い。
参考までにYahooで調べた22日の日の出は8時17分、日の入りは19時1分だそうだ。国立天文台の各地の日の出・南中・日の入り時刻ページ(http://www.nao.ac.jp/reki/hdni/hdni.html)で調べたところ、2003年10月22日の東京の(別に東京である必要はないのだが)日の出は5時54分、日の入りは16時57分とあるから、大きなずれがある事になる。
その夜の明けきらないうちを、私は出て急ぎ歩きで学校へ向かう。建物を出て二度右に曲がったとおりに住む黒と白のまだらな猫は最近、よく見かける。一時期、薄茶の猫といっしょにいる姿をよく見たが、薄茶の猫は一体どうしたのか今は姿を見ない。私は白い息を吐きながら少し歩く。と、途端に小鳥の声が騒がしくなる。それまで車がすれ違うことに出来る幅だった道が狭くなり、一方通行になるところにある家の、中庭にある木に小鳥のコロニーがあるらしいのだ。日中、夕方と全く騒がしくないその木は私が通りすがる朝だけ騒々しくて、朝の訪れをその全身で告げる。私はその左側を通って抜け、左に折れる。ここにくると、自分達の学校に向かう学生達がちらほら見えてくる。皆一様に寒そうである。しばらく彼らに混じって歩くと、東西に走る幹線道路に当たる。その幹線道路のはるか向こうには、薄く明けかけた空が、ある。