猫と月

月の出た夜道の真ん中に猫が二匹、座っていた。母子とおぼしき二匹の脇を通りすぎようとすると、啼きながらすり寄ってくる。珍しい事もあるものだ、と思ったそのとき、数日前に近くのアパートの前で横死していた猫の姿が脳裏をかすめた。見れば小さい方の模様に見覚えがあるような気がしないではない。まさかな、と思いながら私はその場をあしばやに立ち去る。