夢を見た。

私の言葉を聞いて自殺したと言う女の遺した、テクニカルパンとトライXを現像する憂き目にあう。彼女は私のどの言葉に絶望したのだろうか。暗室の中でリールにフィルムを巻き取りながら、テクニドールをキューブに流し込みながら、申し訳ないような心細い気持ちで、私は現像を終えた。透明度の高いベースに浮かび上がったきりっとしたテクニカルパンの画像を乾燥機に吊るし、私はトライを現像しにかかる。ざしゃっ、と音がして一本だけのリールがD76の槽に入っていく。現像の終わったトライは、七八枚ほど撮られた所で終わっていた。何か建築物のようなものが写っている。私はそれを乾燥機に吊るしながら、誰がこのフィルムをプリントするのだろうか、とぼんやり考えている。